共有名義の不動産は、家族信託だけでは解決しない
- うるくす行政書士事務所

- 7月2日
- 読了時間: 4分

「家族信託をすれば、親の家は自由に売却できるようになりますか?」
家族信託をご検討されている方から、このようなご質問をいただくことがあります。
家族信託は認知症対策や財産管理に有効な制度ですが、すべての問題を解決できる万能な制度ではありません。
特に注意したいのが、共有名義の不動産です。
今回は、実際に担当した案件をもとに、共有名義の不動産と家族信託の関係について解説します。
ご相談内容
ご相談者は、お母様の財産管理についてご心配されていた長男の方でした。
お母様は認知症の診断を受けており、将来施設へ入所した際に、自宅マンションを売却できるよう家族信託を検討されていました。
ご相談当初は、
「家族信託をすれば売却できますよね。」
という認識でした。
しかし、調査を進めると、一つ重要な事実が判明しました。
マンションは共有名義でした
対象となるマンションは、お母様だけの所有ではありませんでした。
ご家族との共有名義になっていたのです。
ここが、この案件の重要なポイントでした。
家族信託で管理できるのは、原則として信託した人が持っている財産だけです。
共有者が持っている持分まで、自動的に管理できるようになるわけではありません。
家族信託をしても売却できない場合があります
例えば、お母様の持分だけを家族信託した場合でも、
マンション全体を売却するには、共有者の協力が必要になります。
つまり、
家族信託を契約しただけでは、
共有不動産の売却まで保証されるわけではないのです。
制度を利用しても、共有という権利関係は残ります。
本当に整理すべきなのは「権利関係」
この案件で最初に行ったのは、契約書を作ることではありませんでした。
まず整理したのは、
誰が所有しているのか
誰の同意が必要なのか
将来も売却に協力できるのか
売却代金はどのように分けるのか
という権利関係です。
この整理をしないまま家族信託を進めても、将来また別の問題が生じる可能性があります。
制度より先に構造を見ることが重要です
家族信託は、あくまでも手段の一つです。
大切なのは、
制度を導入することではなく、その制度で本当に目的を達成できるかどうかを確認することです。
共有名義であれば、
場合によっては共有者との合意形成や持分の整理など、家族信託以外の検討も必要になります。
制度だけを見てしまうと、本当の課題を見落としてしまうことがあります。
家族信託を検討する前に確認したいポイント
共有名義の不動産がある場合は、次の点を確認することをおすすめします。
不動産の所有者は誰か
持分割合はどうなっているか
共有者は将来も協力できるか
売却の可能性があるか
家族信託だけで目的を達成できるか
これらを整理してから制度を選ぶことで、将来のトラブルを大きく減らすことができます。
まとめ
家族信託は非常に有効な制度ですが、共有名義の不動産まで自動的に解決してくれる制度ではありません。
だからこそ重要なのは、
制度を検討する前に、
「誰が権利を持ち、誰が意思決定をするのか」
という構造を整理することです。
当事務所では、家族信託という制度ありきではなく、ご家族の状況や財産の権利関係を整理したうえで、最適な方法をご提案しています。
「家族信託が使えるか」ではなく、**「家族信託で目的を達成できるか」**という視点で考えることが、将来の安心につながります。
【ご相談について】
相続・家族信託・不動産・事業承継・共同事業など、関係者が複数いる案件では、
・誰が決めるのか
・誰が責任を負うのか
・お金はどこへ流れるのか
・出口はどうするのか
が整理されていないために、話が進まなくなることがあります。
当事務所では、契約書作成や手続の前に、案件全体の構造を整理し、関係者間の意思決定を支援しています。
「何から整理すれば良いかわからない」
「話し合いがまとまらない」
「手続の前に方向性を整理したい」
そのような場合は、お気軽にご相談ください。
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