【実例】家族信託で一番時間がかかったのは契約書ではありませんでした
- うるくす行政書士事務所

- 6月30日
- 読了時間: 4分

「家族信託をお願いしたいので、契約書を作ってください。」
家族信託のご相談では、このようなお話から始まることが少なくありません。
しかし、実際の業務では、契約書の作成そのものよりも時間をかける部分があります。
今回は、実際に担当した案件をもとに、個人情報を伏せた形でご紹介します。
ご相談内容
ご相談者は90代のお母様を持つ長男の方でした。
お母様は認知症の診断を受けており、
将来、施設へ入所した際に自宅マンションを売却できるよう、家族信託を検討されていました。
「今のうちに準備しておきたい。」
それがご家族の希望でした。
契約書は比較的スムーズにまとまりました
信託の目的は明確でした。
お母様の生活を守ること
財産管理を円滑にすること
必要なタイミングで自宅を売却できるようにすること
契約内容が整理されていたため、契約書自体の作成は大きな問題なく進みました。
しかし、本当に時間を要したのはその後でした。
一番時間がかかったのは「事前調整」
家族信託は契約書が完成すれば終わりではありません。
契約が将来きちんと機能するよう、さまざまな確認や調整が必要になります。
今回の案件でも、次のような準備を丁寧に進めました。
ご本人の意思確認
認知症という診断だけで契約できるかどうかは決まりません。
契約内容を理解し、自分の意思で契約できる状態かどうかを慎重に確認しました。
ご家族との認識共有
受託者にはどのような権限があるのか。
どのような場合に自宅を売却するのか。
家族全員が同じ理解を持てるよう、一つひとつ整理しました。
公証人との事前協議
契約当日に円滑に進められるよう、
契約内容や本人確認の方法などを事前に公証人と打ち合わせました。
金融機関との調整
信託口口座の開設についても事前確認を実施しました。
金融機関によって必要書類や運用方法が異なるため、契約後に手続きが止まらないよう準備を進めました。
司法書士との連携
信託契約後は不動産の信託登記が必要になります。
契約内容と登記内容に相違がないよう、司法書士とも連携しながら準備を進めました。
家族信託は「契約書を作る仕事」ではありません
今回の案件を通じて改めて感じたのは、
家族信託は契約書を作ることが目的ではないということです。
契約書は、あくまで仕組みを形にしたものです。
本当に重要なのは、
その仕組みが将来きちんと機能する状態をつくることです。
制度だけでは家族の問題は解決しません。
ご本人、ご家族、公証人、司法書士、金融機関など、それぞれの立場を整理しながら進めることで、初めて安心して運用できる家族信託になります。
まとめ
家族信託で最も時間がかかるのは、契約書の作成ではありません。
契約書が安心して機能するための「事前準備」と「調整」です。
だからこそ、家族信託では制度の説明だけでなく、ご家族の状況や将来の希望を丁寧に整理することが欠かせません。
当事務所では、契約書の作成だけではなく、ご本人の意思確認から関係者との調整まで含めてサポートしています。
家族信託をご検討中の方は、「契約書を作ること」ではなく、「将来も安心して運用できる仕組みをつくること」を一緒に考えてみませんか。
【ご相談について】
相続・家族信託・不動産・事業承継・共同事業など、関係者が複数いる案件では、
・誰が決めるのか
・誰が責任を負うのか
・お金はどこへ流れるのか
・出口はどうするのか
が整理されていないために、話が進まなくなることがあります。
当事務所では、契約書作成や手続の前に、案件全体の構造を整理し、関係者間の意思決定を支援しています。
「何から整理すれば良いかわからない」
「話し合いがまとまらない」
「手続の前に方向性を整理したい」
そのような場合は、お気軽にご相談ください。
うるくす行政書士事務所
ホームページ/お問い合わせフォーム




コメント