施設入所後でも家は売れるのか?家族信託で「将来の選択肢」を残すという考え方
- うるくす行政書士事務所

- 6月30日
- 読了時間: 4分

「親が施設へ入ることになりました。実家を売却して施設費用に充てたいのですが、売れますか?」
これは、家族信託のご相談でよくいただくご質問です。
結論から言えば、施設へ入所した後でも家を売却できる場合はあります。
しかし、それには重要な前提があります。
それは、売却できる状態を事前に準備していること」です。
今回は、実際に担当した案件をもとに、施設入所と自宅売却について解説します。
ご相談内容
ご相談者は、お母様の将来を心配されていた長男の方でした。
お母様は認知症の診断を受けていましたが、ご自身の意思を伝えることができる状態でした。
ご家族が心配されていたのは、
「将来施設へ入所した場合、自宅を売却して生活費や施設費用に充てられるようにしたい。」
ということでした。
相続対策ではなく、あくまでもお母様が安心して生活を続けるための準備が目的でした。
施設へ入れば自動的に売却できるわけではありません
「施設へ入ることになったら、その時に売却すればいい。」
そう考えられる方も少なくありません。
しかし、現実にはそう簡単ではありません。
不動産を売却するには、所有者本人が契約内容を理解し、自ら意思表示できることが原則です。
もし施設へ入所する頃には認知症が進行し、判断能力が低下していた場合、自宅を売却できなくなる可能性があります。
つまり、
家はあるのに売れない。
そのような状況が実際に起こり得ます。
家族信託で準備したこと
今回の案件では、ご本人が意思表示できる段階で家族信託契約を締結しました。
将来、施設へ入所し、自宅を売却する必要が生じた場合でも、受託者である長男が契約内容に基づいて適切に管理・売却できるようにしたのです。
ただし、家族信託を利用すれば何でも自由に売却できるわけではありません。
売却の目的や権限、売却代金の管理方法などを契約内容として明確に定めておくことが重要です。
本当に大切なのは「売ること」ではありません
家族信託というと、「不動産を売るための制度」と思われることがあります。
しかし、本質はそこではありません。
本当に守りたいのは、
ご本人が安心して生活を続けられる環境です。
施設へ入るかどうか。
自宅を残すか売却するか。
その時の状況に応じて最適な判断ができるよう、選択肢を残しておくことが家族信託の大きな役割です。
施設入所後も判断は続きます
施設へ入所すると、一つの区切りを迎えます。
しかし、その後も、
自宅を維持するのか
売却するのか
売却代金をどのように管理するのか
将来相続人へどのように引き継ぐのか
など、多くの判断が必要になります。
そのため、施設への入所が決まってから慌てて準備を始めるのではなく、判断能力が十分にあるうちから備えておくことが重要です。
家族信託は「将来の選択肢」を残す制度
家族信託は、不動産を売却するためだけの制度ではありません。
将来、状況が変わったときでも、
ご本人の意思を尊重しながら柔軟に対応できる仕組みを整える制度です。
「家を残す」ことが目的ではありません。
「ご本人が安心して生活できること」が目的です。
そのために必要であれば売却という選択肢も取れるよう、事前に準備しておくことが大切です。
まとめ
施設へ入所した後でも、自宅を売却できるケースはあります。
しかし、それは
施設へ入ったから売れるのではなく、売却できる仕組みを事前に整えていたからです。
家族信託は、その準備を行うための有効な方法の一つです。
当事務所では、制度の説明だけではなく、ご本人やご家族の状況を整理し、「何を守るために家族信託を利用するのか」という視点を大切にしています。
将来の不安を減らすためには、「今できる準備」を早めに始めることが、何より重要です。
【ご相談について】
相続・家族信託・不動産・事業承継・共同事業など、関係者が複数いる案件では、
・誰が決めるのか
・誰が責任を負うのか
・お金はどこへ流れるのか
・出口はどうするのか
が整理されていないために、話が進まなくなることがあります。
当事務所では、契約書作成や手続の前に、案件全体の構造を整理し、関係者間の意思決定を支援しています。
「何から整理すれば良いかわからない」
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「手続の前に方向性を整理したい」
そのような場合は、お気軽にご相談ください。
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