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母が認知症でも家族信託ができた理由|契約できるかどうかは「診断名」だけでは決まりません


「親が認知症と診断されました。もう家族信託はできませんか?」

家族信託のご相談で、最も多い質問の一つです。

認知症と診断されると、「もう何も契約できない」と考えてしまう方が少なくありません。

しかし、法律上は必ずしもそうではありません。

今回は、私が実際に担当した案件をもとに、個人情報を伏せた形で「認知症でも家族信託ができた理由」をご紹介します。


認知症と契約能力は同じではありません


まず知っていただきたいのは、

「認知症」と「契約能力」は別の問題だということです。

認知症という診断を受けていても、

  • 契約の内容を理解できる

  • 自分の意思を表明できる

  • なぜ契約するのかを説明できる

この状態であれば、契約できる可能性があります。

反対に、認知症ではなくても、契約内容を理解できない状態であれば契約は成立しません。

つまり、重要なのは診断名ではなく、

契約時点での判断能力です。


実際のご相談内容


今回のご相談は、

90代のお母様を持つ長男の方からでした。

お母様は認知症の診断を受けていましたが、

日常会話はでき、

ご家族のことも理解されていました。

ご相談の内容は、

「将来、施設へ入所した場合でも、自宅を適切なタイミングで売却できるように準備しておきたい。」

というものでした。


最初に確認したのは財産ではありません


家族信託というと、

財産や契約書ばかりに目が向きがちです。

しかし、この案件で最も重要だったのは、

ご本人の意思確認でした。

私は、

  • なぜ家族信託をしたいのか

  • 誰に財産管理を任せたいのか

  • 将来、自宅を売却する可能性があることを理解しているか

これらをご本人の言葉で確認しました。

家族が希望していても、

本人の意思が確認できなければ家族信託は成立しません。


契約書よりも重要だった「事前準備」


今回の案件では、

契約書の作成以上に時間をかけたのが、

関係者との事前調整でした。

例えば、

  • ご家族との打ち合わせ

  • 信託銀行との相談

  • 公証人との事前協議

  • 登記を担当する司法書士との連携

契約が有効に成立するよう、

一つひとつ確認しながら進めました。

家族信託は契約書を作ることが目的ではありません。

安心して将来を任せられる仕組みを作ることが目的です。


家族信託は「困ってから」では遅いことがあります


この案件が無事に進められた理由は、

ご本人がまだ意思表示できる段階だったことです。

もし判断能力がさらに低下していた場合、

家族信託という選択肢は取れなかった可能性があります。

その場合は成年後見制度など、別の制度を検討することになります。

つまり、

家族信託は、

「必要になってから考える制度」ではなく、「必要になる前に準備する制度」なのです。


制度ではなく「家族の未来」を設計する


私は家族信託を、

単なる財産管理の制度だとは考えていません。

本質は、

本人の意思を将来につなぐ仕組みを作ることです。

誰に管理を任せるのか。

どのような場合に財産を売却するのか。

家族がお互いに安心して判断できる状態を整えることが、

家族信託の本当の価値だと考えています。


まとめ


認知症だからといって、

必ず家族信託ができなくなるわけではありません。

一方で、

判断能力が失われてしまえば契約できない可能性が高くなります。

だからこそ、

家族信託は「いつか考える」のではなく、

「まだ元気な今だからこそ考える」ことが重要です。

「うちの場合はどうだろう?」

と迷われている方は、制度の説明だけで判断するのではなく、ご本人の状況やご家族の希望を整理した上で検討することをおすすめします。

制度を選ぶことが目的ではありません。

ご本人の意思を将来まで実現できる仕組みを設計することが、本当に大切なことだと考えています。


【ご相談について】


相続・家族信託・不動産・事業承継・共同事業など、関係者が複数いる案件では、

・誰が決めるのか

・誰が責任を負うのか

・お金はどこへ流れるのか

・出口はどうするのか

が整理されていないために、話が進まなくなることがあります。


当事務所では、契約書作成や手続の前に、案件全体の構造を整理し、関係者間の意思決定を支援しています。


「何から整理すれば良いかわからない」

「話し合いがまとまらない」

「手続の前に方向性を整理したい」


そのような場合は、お気軽にご相談ください。


うるくす行政書士事務所

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